保証人の悪夢3
悪夢その
同じ市内に住んでいる兄と姪(兄の長女)が挨拶にきた。姪が来春大学を卒業して福岡市内にある商事会社に勤めることになったと言う。その会社は、地元では名の通った会社であり、私も喜んだ。そこで、入社に際して身元保証人になってくれないかという依頼だった。父親である兄以外に、別世帯の保証人がもう一人必要になっているそうだ。姪も実家から通勤するという話なので、特に心配することはなかろうと考え承諾した。
それから4年が経過したある日、兄が沈んだ顔をしながら私の家にやって来た。姪が男と逃げたと言う。その男とは、スナック勤めの遊び人風だったらしい。兄は一度会ったことがあるようだ。姪は2年程前より福岡市内にアパートを借りて一人住まいを始めていたらしい。実はと、兄は更にびっくりするようなことを話し始めた。姪は会社の経理担当だったが、会社の金を3000万円程使い込んだのが発覚したらしい。恐らく近日中に、その会社より連絡があるだろうと兄はぼそぼそと言った。ここで初めて思い出した。4年程前に姪が入社をする際に身元保証人になったことを。
その翌日、姪が勤めていた会社の顧問弁護士から内容証明郵便が届いた。身元保証人として3000万円を支払うようにという内容だった。私も住宅ローンと子供2人の教育費を抱えている。どこにも3000万円などあろうはずがない。何の見返りもなく身元保証人になったばかりに、こんなことになるとは後悔しても後悔し切れない。妻にもこの事態を相談できず、仕事も手に付かない不安な日々を送っている。
※以上の事例は、保証契約に関するトラブルを理解しやすいようにするためのフィクションです。